2011年12月23日

辻克己氏の図案文字本『応用図案文字集』

先日オンライン店舗に出した『応用図案文字集』(辻克己編著 昭和25年10月 大同出版社)は、昭和33年8月に重版が出ています。
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ご覧の通り、判型はだいたい同じくらいですが、デザインが随分と違います。
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細かく見ると、表紙の幅が5mmくらい狭くなり、板紙の厚さも約2mmから約1mmへと薄くなっています。
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ぱっと見の印象がだいぶ違いますが、売れ行きを意識しての変更なのかしらん。初版の方は較べるもなく地味ですものね…。

見返し〜遊び紙は綺麗な緑色だったものが白い紙に。
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表紙と異なり扉の書体やカット図案は元のままですが、刷り色は変えてありますね。
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本文の内容自体は、ページ割り付けも含め全く変わりませんが、
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刷り色が違うのが目を惹きます。ノンブルは打ち換えたようで、書体が変わり級数が上がって両側にダッシュが添えられています。
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初版では40ページまでが茶色で、41ページからは緑色ですが、
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重版の方は始めから終わりまでずーっと緑一色。
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ということで、後半はどちらもまるっきりおんなじです。
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オンライン店舗の記事にも書いたように、戦前浩文社という版元から出されていた辻克己氏のデザイン本を再版したもののダイジェスト版という位置づけらしき本ですが、どうやら覆刻したのではなくて単に原版?を買い取って手っ取り早く出した、ということらしいです。

この大同出版社については装幀家の大貫伸樹氏が2007年に色々ご苦労を重ねつつお調べになってブログに纏めておられますので、ご興味がおありの方はご一読いただければと思います。

さて、この2冊の奥付ですが、初版にはあった同社の他の出版物紹介が、重版では綺麗さっぱりなくなっています。
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その代わり、重版の方には大同出版社自体のものと思しき検印紙が貼り付けられています。

そして奥付そのものをよく視ると、初版は旧漢字、重版は新漢字で、印刷所も変わっています。所在地が何故か「東京都千代田区」としか書かれていない「昭和印刷株式会社」とは、もしかすると昭和25年に神田司町で創業し、現在は渋谷区にある株式会社昭和印刷社の可能性もありますね。
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大同出版社の電話番号もバラバラの3つから通し番号になっています。儲かって買い直したのかしらん…何より、価格が180円(地方定価は10円増し)から150円に値下げされているのが興味深いです。上に掲げた体裁や本文刷り色の違いは、コスト削減で値段を下げ、しかもキリのよい数字にしてより売りやすくしようとしたためだったと考えてもよいのではないでしょうか…実際の売れ行きはどうだったか判りませんが。

さて、この本の元になったのは、浩文社から昭和初期に出されてかなり売れたらしい『現代図案文字大集成』という本
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ですが、これとの内容比較などについてはまたいずれ改めて(…もし気が向いたら…(笑))。
posted by くろねこ at 18:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記
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